
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が発効し、輸入牛肉の関税が38.5%から26.6%に引き下げられた影響で、TPP参加国のカナダ産、ニュージーランド(NZ)産などの輸入量が急増していることが26日、分かった。
1~11月までの牛肉輸入量は、カナダ産が前年同期比95%増の3万9730トン、ニュージーランド産は32%増の1万7368トンとそれぞれ大きく伸びた。同じくTPP参加国のメキシコ産も19%増の1万3632トンだった。特にカナダ産は、質が高いとしてステーキ店やスーパーで取り扱いが拡大している。一方、TPPから離脱した米国産は5%減の21万7067トンと伸び悩んでいる。TPP参加国との関税差が1割以上違うなど価格差も影響したもようだ。
牛肉の輸入量全体は、前年同期比横ばいの56万2259トン。米国産に加え、中国がオーストラリアからの輸入を増やした影響で豪州産も減少した。カナダ産牛肉などの輸入量が急増しているものの、トータルでは横ばいのため、世界貿易機関(WTO)ルールに基づく緊急輸入制限(セーフガード)の発動水準には至っていない。
ただ、来年1月1日に日米貿易協定が発効し、米国産牛肉の関税は38.5%からTPP水準まで引き下げられる。日米貿易協定では、セーフガードが発動されることで合意しており、初年度の発動基準は2018年度の輸入実績を下回る24万2000トンだ。米国産牛肉の輸入が増加すればセーフガードの発動は必至だ。
セーフガードが発動される輸入量は初年度以降、段階的に引き上げられ、最終的に29万3000トンにすることで合意している。セーフガードの発動で上昇する関税は21年までが38.5%、28年までが30%、32年までは20%となっている。(飯田耕司)
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December 27, 2019 at 03:00AM
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