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米国人の家に招かれたら、靴は脱ぐ? 脱がない? 専門家の見解は - ナショナル ジオグラフィック日本版

このハワイの住宅のように玄関先で靴を脱げば、汚れや病原菌、鉛のような毒素が住宅に入りにくくなることが研究で明らかになっている。(PHOTOGRAPH BY ROBERT MADDEN, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

このハワイの住宅のように玄関先で靴を脱げば、汚れや病原菌、鉛のような毒素が住宅に入りにくくなることが研究で明らかになっている。(PHOTOGRAPH BY ROBERT MADDEN, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

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 米国に住んでいると、新しい友人の家を訪れた時に、玄関で靴を脱ぐか脱がないか迷ったことがあるかもしれない。これは、伝統的文化と個人的な好みに関わる、やっかいな社交的儀式なのだ。脱ぐと、見た目と臭いが気になるだろう。でも、訪問先で靴を脱げば、その家の住民の健康にプラスになるかもしれない。なぜ玄関で靴を脱ぐように科学者は勧めるのか、その理由を探ってみよう。

家で靴を履かない人たち

 家に入る時に靴を脱ぐのはきまりが悪いと感じる人もいるが、それも不思議ではない。屋内で靴を脱ぐか脱がないかという問題には、相反する見解と文化的な背景がある。異文化コミュニケーションの研究者であるルシーナ・アレクサンドロビッチ・ペディッチ氏は、家に入る時に靴を脱ぐのは「公私の境界を超えることを象徴する行為」だと述べている。イスラム教のモスクをはじめとして、いくつかの場所では、この境界が聖なる空間と俗世を分けている。だが、靴を脱ぐ習慣は世界各地で広がっている。(参考記事:「人間は4万年前から靴を履いていたことが判明」

 たとえば、東南アジアでは、屋内で靴を履かない文化に適した暖房設備や家具、建築様式が取り入れられている。ニュージーランドでは屋内でも屋外でも裸足でいることは珍しくないという研究がある一方で、ドイツ人の多くは、外で履く靴とは別の「室内シューズ」を家の中で履いている。(参考記事:「裸足で走る方が足への負担は軽い」

 米国では、この問題についてもう少し意見が分かれているようだ。CBS/YouGovが2022年に行ったアンケート調査によれば、米国人の63パーセントが、「家では靴を脱ぐ」と答えている。だが、来客にも靴を脱ぐように求めている人は24パーセントにとどまった。

マナーの達人はどう考える?

 家で靴を脱ぐ、または脱がない理由は、人の数だけある。室内に泥や汚れを持ちこみたくないからという声もあれば、訪問先の人に敬意を表するためという考えもある。マナーの達人なら正解を教えてくれると思いきや、実は専門家の意見も米国の一般市民と同じように分かれている。

「ゲストに靴を脱ぐように求めるのは、ゲストに快適に過ごしてもらうよりも我が家の床を守るほうが大事、と言っているようなものです」と述べるのは「ミス・マナーズ」の回答チーム。一方、マナーの権威であるペギー・ポスト氏は「家の人は、靴を脱ぐよう客に求める権利があります」という考えだ。米国のエチケットでは、一般に他者に気持ちよく過ごしてもらうことが重視されており、靴を脱ぐか脱がないかという問題は、その家の家長の判断に任せられることが多い。

屋内で靴を履く科学的な根拠とは?

 マナーの達人の意見は分かれているが、靴が不潔な汚れを屋内に持ちこむという点については多くの科学的な裏づけがある。しかし、こうした汚れが私たちの健康に直接の害をもたらすかどうかはまだ明確になっていない。

 2023年の論文では、室内のダスト(ちり)粒子の半分以上は屋外から持ちこまれていることが明らかになった。研究者は、鉛から糞便にいたるまで、あらゆる汚れが靴に付着して移動すると警告している。この論文では、「屋内のダストでは、分析したすべての元素の微量金属濃度の中央値と平均値が、対応する庭の土より高かった」と述べられている。

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