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市民の足支え112年、老舗履物メーカーが幕…残された婦人靴1186足は施設に寄贈 - 読売新聞オンライン

 履物産業で栄えた広島県福山市松永地区を代表する老舗メーカー「広木工業」(福山市柳津町)が6月末で廃業し、残された主力商品の高齢者向け婦人靴を社会福祉施設に寄贈した。新型コロナウイルス禍で売り上げが急減したことなどが要因で、市民の足を支えた112年の歴史に幕を閉じた。(佐藤行彦)

 松永湾に面した松永地区は、江戸時代から製塩業が盛んだった。明治初期に地元の実業家・丸山茂助が塩を煮詰める時に使う安価な雑木に注目し、ゲタ作りを始めて成功。次々に他の業者が参入し、最盛期の1950年代には年間5600万足が生産された。

 広木工業は、丸山が興した工場に勤務していた初代社長が、1910年に独立して創業した。37年には北海道に製材工場を設けるなど事業を軌道に乗せた。戦後、生活スタイルの欧米化でゲタの需要が減ると、サンダルやスリッパ、ヒールの低い高齢者向け婦人靴の製造を始めた。婦人靴は人気を博し、全国130社と取引があった。

 だが、近年は価格の安い外国産の靴に押され、経営環境が悪化。さらにコロナ禍で高齢者の出歩く機会が少なくなると、売り上げも激減した。

 昨年12月、3代目社長の内海宣能さんが病気のため74歳で亡くなり、妻の伸子さん(73)と社長を継いだ長男の源太郎さん(46)が廃業を決めた。本社工場は他の製造業に貸し出し、不動産業などとして社名を残すことにした。

 会社には婦人靴の在庫が大量にあったため、地域で役立ててもらおうと6月末、福山市に1186足を寄贈した。市は靴を24の社会福祉法人に贈り、高齢者施設の入所者らに渡された。

 8月1日、市は伸子さんと源太郎さんに感謝状を贈った。伸子さんは「100年以上続いた事業が途絶えるのは残念。寄贈した靴で高齢者が少しでも歩いてみようという気になり、笑顔が広がればうれしい」と話した。

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