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ブラック校則、教員も「おかしい」 靴下自由、靴は?手探り変革 - 毎日新聞 - 毎日新聞

新しく導入されたブレザー式の制服を着て授業を受ける岐阜市立厚見中学校1年生の生徒たち。スラックス着用の女子生徒もいる=岐阜市上川手の同校で2022年4月26日、井上知大撮影 拡大
新しく導入されたブレザー式の制服を着て授業を受ける岐阜市立厚見中学校1年生の生徒たち。スラックス着用の女子生徒もいる=岐阜市上川手の同校で2022年4月26日、井上知大撮影

 「ブラック校則」と呼ばれる理不尽な学校のルール。生徒側が「おかしい」と声を上げ、見直す動きが全国で広がる中、教員側の働きかけで校則が変わった学校もある。一方で、靴下の色は自由になったのに靴は白色指定のままの学校も。時代の流れだけでなく、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、生徒も教員も悩みながら話し合う。手探りで「校則改革」を進める岐阜の中学校に迫った。

靴下の色―生徒から変えた

 隣接する岐南町との境にある岐阜市立厚見中。県内のほとんどの学校と同様に女子はセーラー服、男子は詰め襟(学ラン)の制服だったが、この春入学した新1年生からブレザー式へ変更した。性別に関係なくスカート、スラックス、リボン、ネクタイを選べるようになっただけでなく、これまで白色指定だった靴下は黒と紺色もはけるようになった。

 こうした変化は、新型コロナウイルスが流行し始めた2020年に岡田芳子校長が「校外での活動ができない今こそ、自分たちの生活を見つめ直してはどうか」と、生徒に投げ掛けたのがきっかけだ。制服の変更は教員たちが主導し、翌21年に生徒と保護者による投票でデザインを決めた。

 この動きと合わせるように生徒会が取り組んだのが靴下の白色規定の変更だ。全生徒を対象にしたアンケートでは「汚れが目立つ」「白だけにする理由がない」との意見があり、校則を変えた。「物事を変えるということは面倒で大変だけれど、考えて行動する体験をしてほしい」との思いがある岡田校長の投げ掛けに応えた形だ。

生徒会メンバーとして昨年度、靴や靴下の色指定の変更に携わった大野中3年の横山結華さん(左)と桑原由奈さん=岐阜県大野町黒野の同校で2022年5月9日、井上知大撮影 拡大
生徒会メンバーとして昨年度、靴や靴下の色指定の変更に携わった大野中3年の横山結華さん(左)と桑原由奈さん=岐阜県大野町黒野の同校で2022年5月9日、井上知大撮影

 生徒会副会長の恒川心葉さん(3年)は「校則によって学校生活に不自由さが出たとき、『おかしいのでは』と声を上げることは大切。自分の意見を言い、話し合うことは大事」と力を込める。

 靴下の白色指定の校則は変えられたが、靴の色は白色指定で、頭の側面を刈り上げて頭頂部の髪を伸ばす「ツーブロック」は禁止。生徒会長の井上晃輔さん(3年)は「流行の髪形に興味がある。これも自由で良い気がする」と率直な気持ちを口にする。

 岡田校長は「何でも自由になれば、派手で豪華なものを競い合うことが起きるかもしれない。おしゃれをすること自体は否定しないが、学校の外ですればいいこともある。私の中でも迷いはある」。

髪形―教員「多様が当たり前」

 人口約2万2000人ながらバラ苗生産日本一を誇る岐阜県大野町。町立大野中学校では、厚見中では禁止されている「ツーブロック」や染色、パーマといった髪形に関する決まりを撤廃した。「ブラック校則」への批判が全国的に高まっているのを受け、町内のすべての学校の校長らが各校の校則を持ち寄り、対応を協議。大野中の髪形規定撤廃は教員たちで決めた。

 同校の中川浩美校長は「根拠のない校則は多い。海外にルーツを持つ生徒にとって髪形や髪色は多様なのが当たり前で規定するのはおかしい」と話す。

 同校では昨年度、生徒会が白色指定だった靴下と靴の色規定を撤廃した。当時の生徒会副会長、横山結華さん(3年)は「良く考えると『なぜ』と思うことがある」と、全生徒にアンケートを実施。靴の色指定について7割が現状維持を希望した一方、「部活動で使う靴は白とは限らず、毎日、2足必要になる」などという不自由さを訴える意見が3割に上った。色指定がなくなっても現状維持を希望した生徒にとって不利益にはならないと校則を変えた。当時の生徒会メンバー、桑原由奈さん(3年)は「自分が窮屈さを感じていなくても、他の人にとって窮屈なことがあると知った。変えて良かった」と話す。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの学校が体育や清掃時間に着用していたジャージーでの登下校や授業参加を認めるようになった。制服は家庭用洗濯機で洗うことができず、毎日同じ服を着ることへの抵抗感が高まったためだ。

 大野中でも制服ではなく大半の生徒がジャージーで過ごしている。生徒指導主事の古川雄貴教諭は「ジャージーは家庭で洗濯しやすく、清潔。この生活で不自由は感じない」と話し、新型コロナ禍が終息した後もこの「ジャージー生活」の運用を続ける検討をしてもよいと考えている。

「よりドラスチックな改革を」

全国で広がる「校則改革」について語る名古屋大学大学院の内田良教授=名古屋市千種区の同大で2022年6月1日、井上知大撮影 拡大
全国で広がる「校則改革」について語る名古屋大学大学院の内田良教授=名古屋市千種区の同大で2022年6月1日、井上知大撮影

 こうした動きについて校則問題に詳しい名古屋大学大学院の内田良教授(教育社会学)は「機運自体はいいこと」と評価する一方「靴下の色を増やすのに一定の時間がかかることが、かえって教員の大きな権力が見えて窮屈に思える」と手厳しい。

 校則が強化されたのは非行や校内暴力など「荒れる学校」が社会問題化した1980年代。内田教授は「頭のてっぺんから足のつま先まで管理、規制して、とにかく非行の芽を摘むことに心血が注がれた。当時は仕方なかった面はあるが、今は状況が異なる」と指摘する。

 内田教授によれば、生徒に少しでも自由を許せば、個々の行動がエスカレートし学校が荒れ放題になるのではという昔の発想が根強いことが、小幅な変更にとどまる原因だという。内田教授は「服装や髪形は、学校に細かく指定されるべきことではない。もっと生徒を信じて、先生の方からよりドラスチックな校則改革を促してほしい」と話す。【井上知大】

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