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アイゼンをつけないときはどう歩く? 雪山を登山靴だけで歩く際のポイント - 株式会社 山と溪谷社

アイゼンは雪山登山の必須装備だが、常時装着しているわけではない。雪山登山の技術、装備、初級〜中級者におすすめの雪山ルートを一冊にまとめた書籍『入門とガイド 雪山登山 改訂版』から、雪上を登山靴で歩くためのポイントを紹介する。

雪上を登山靴で歩く

雪上を歩くバランス

登山靴で雪の上を歩くと、リラックスしたよい姿勢で歩ける人と、腰が引けて今にも転びそうな人がいる。単純に歩くだけだが、そこには技術の違いがある。

硬い雪は滑り、軟らかい雪は崩れるものだ。雪上を歩くときは、滑ったり崩れたりすることに注意しながら歩く。歩き方自体は無雪期と同じだが、足場が不安定なので丁寧に行なわれる必要がある。要点は次のとおり。

  1. 歩幅を狭くして踏み出す。
  2. 靴底全体が雪面につくようにして、雪面との摩擦力を生かす。
  3. 踏み出した前足に、真上から体重を乗せて荷重する。
  4. 荷重方向が前後左右にぶれないように、まっすぐ立ち上がる。
  5. そのとき後足で蹴り上げないようにし、前足だけで立ち上がる。

これは「静荷重・静移動」と呼ばれている山の歩き方である。この歩き方は滑りにくいと同時に、足場が崩れてグラッときたときでも、すぐにバランスを立て直してリカバリーしやすい。

このように雪上をバランスよく歩く方法は、技術としては説明しにくいが、何回となく雪を歩くことで感覚として身についてゆく。

雪上でスリップを防いで歩けることは、次のキックステップやアイゼン歩行の基礎として重要である。

キックステップ

緩やかな斜面では、靴底をフラット(斜面に対して平行)に置いて歩くことができる。この歩き方ができないほどの傾斜になったら、雪面に靴を食い込ませてステップを作りながら登下降する。これがキックステップである。

登り

登りは、踏み出す前足の位置につま先を蹴り込んで、靴ひとつ分のステップを作る。そこに静荷重で乗り、静かに立ち上がる。

キックステップ・登り
キックステップ・登り

下り

下りは、踏み出す前足の位置にかかとを蹴り下ろして、靴が乗るステップを作る。下りの場合は蹴り下ろしと同時に体重移動する。

キックステップ・下り
キックステップ・下り

トラバース

トラバースは、山側の足を斜面に対して斜めに蹴り込んでステップを作る。谷側の足はかかとを蹴り下ろすかつま先を蹴り込むか、どちらかの方法でステップを作る。

キックステップ・トラバース
キックステップ・トラバース

キックステップは、登山靴での雪上歩行に、ステップを作る動作が加わったものだ。蹴り込みの動作がめだつが、雪上に脚一本でバランスよく立てることが、とても重要な技術である。


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