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磐田駅前で親しまれ70年 靴のプリンス、きょう閉店 - 中日新聞

70年の愛顧に感謝する渡辺俊朗さん(右)と母ひろ子さん=磐田市で

70年の愛顧に感謝する渡辺俊朗さん(右)と母ひろ子さん=磐田市で

 JR磐田駅前で七十年にわたり親しまれてきた靴店「靴のプリンス」が三十日、幕を下ろす。量販店の登場に加え、新型コロナウイルス禍で常連客の来店も減っていた中、社長の渡辺俊平さん=享年(82)=が五月に死去。三代目の俊朗さん(45)は「長い間のご愛顧にただ感謝です」とこうべを垂れる。 (勝間田秀樹)

 戦後、前身の「丸福履物百貨店」を俊朗さんの祖父祐吉さんが設立。二代目の俊平さんが一九五三年、店名を「靴のプリンス」にした。妻のひろ子さん(77)は「ワシントンっていう靴店が浜松にも静岡市にもあって。主人は時代は新しい店名を求めているって、プリンスにした」と振り返る。

 六六年、地上四階、地下一階の自社ビルを建設し磐田駅前店をオープン。当時の駅周辺は、人々が肩触れ合うほどにぎわい、店も地下一階、一、二階の三フロアで数万足の品ぞろえを誇った。旧福田町や袋井市に出店したこともあった。

 東京で映像制作の仕事をしていた俊朗さんが実家に戻ったのは三十歳の頃。父にいろはを学んだ。客が外反母趾(ぼし)に悩まされていれば痛くない靴を選び、アフターケアもする。丁寧な接客が身上だった。「父はお客さんの足を見ると『何センチですね』と言い当てた。似合う靴を選ぶ目もあった。人を見て靴を案内する。そんな店でした」と俊朗さん。

 車いすで生活していた俊平さんが旅立ったのは五月一日。誤嚥(ごえん)が原因だった。常連客は五十代以上が中心だったが、高校生など若者にも目を向けてもらおうと、俊朗さんが店でパンなども販売し、手応えを感じていたところだった。コロナ禍に加え、物価高で年内に値上げを予定する靴メーカーが増えたこともあり、迷った末に、閉店を決めた。

 閉店セールを五月十六日に始めると、約一週間は入り切れないほど客が来店し、惜しまれた。千足ほどあった商品も残りわずかとなった。「靴がパンツスーツにぴったり。選んでもらって本当によかった」。そんな電話が、まだある。

 俊朗さんは「靴関係の仕事になるのかは未定ですが、また何か事業を通じ、常連さんたちに元気な姿を報告したい」と話す。店は三十日午後七時半に閉じる。

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