日本学術会議の新会員候補6人の任命拒否問題は、「学問の自由」の侵害だとされる。本当に、侵害されているのだろうか。そもそも、学術会議の独立性のような「学問の自由」は、なぜ必要なのか。学術会議の政治学委員会委員長を務める苅部直東京大教授は、大学自治への政府の介入に道が開くことを危惧し、社会全体の自由度や寛容度を下げるとして、任命拒否に異議を唱える。【鈴木英生/オピニオングループ】
――今回の任命拒否は、本当に学問の自由を侵害したと言えるのでしょうか?
◆学術会議は、研究・教育の場そのものではないから、「任命拒否は直ちに学問の自由の侵害ではない」という見方も、ある程度は理解できなくもありません。最大の問題は、今回の任命拒否の手法が、国立大学法人の学長人事などにも拡大適用されかねないことです。こうなると、大学の自治は大幅に奪われて、研究・教育の内容を政府が監視・統制することにつながります。学問の自由の侵害に、やはり行き着いてしまう。
政府は、今回の任命拒否の根拠を、憲法15条の、国民がもつ公務員の選定罷免権だとしています。8日の参院内閣委員会で、内閣府の大塚幸寛官房長は、参考として、1969年7月の衆院での政府答弁を持ち出しました。文部相が、国立大学長の任命を「明らかに大学の目的に照らして不適当だと認められる」場合は、拒否できるとしたものです。つまり、学術会議の会員も国立大の学長も、同じ法理で政府が裁量できるという認識です。
それでも、69年の政府答弁は、好き勝手に文部相(現・文部科学相)が任命を拒否できるとまでは言っていません。言い換えると、学術会議の新会員についても、任命しないのならば、その理由を説明する必要がある。理由があるな…
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