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《めてみみ》誰のために? - 繊研新聞

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 1足20万円超えの高級紳士靴ブランドを取材した。出番の減ったスーツ同様、ドレスシューズもコロナ下で商売は厳しいかと思っていたが、販売量が落ち込んだのは20年だけで、22年はコロナ前の最高業績もあっさりクリアしたという。

 服装のカジュアル化は進んでいるが、直営店で売れるのはこれまでと変わらず「ドレススタイルに合うスタイリッシュな靴」なのだそうだ。高額だがクオリティーとプレステージ性が高いブランドは、エグゼクティブ層からの需要が底堅いらしい。

 自店での販売が好調な一方、このブランドは顧客から「ここの靴に合うスーツを売っている店が本当に少なくなった」と聞くことも増えた。行きつけの服屋が客のスーツ離れを見越して仕入れ量を絞るようになったからだ。

 既製服の代わりにオーダーに力を入れるようになった服屋もあるのだが、出来上がりまで時間がかかる。何より「既製服の豊富な色や柄、素材の品揃えから選ぶ楽しみがなくなった」と客は不満を漏らすのだそうだ。

 趣味やたしなみとしてドレススタイルを選ぶ人はゼロにはならない。トレンドの変化にばかり気を取られていては、顧客が何を求めているのか見えなくなる。誰のために商品やサービスを提供しているのか。この点を見誤らないことが、息の長いブランドになるためには重要だろう。

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